生徒への「美しい」という言葉、立ち止まって考える

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生徒への声かけは、その子の自己肯定感や自己認識に大きな影響を与えます。特に容姿に関する言葉は、注意深く選ぶ必要があります。今回は、生徒に対して「美しい」という言葉を使うことについて、身体醜形恐怖の観点も交えながら、改めて考えてみましょう。

なぜ「美しい」という言葉に慎重になるべきか

「美しい」という言葉は、一見褒め言葉として響きます。しかし、問題は、その基準が曖昧で、社会的に作られたものである場合が多いということです。生徒が「美しい」と言われたとき、彼女(または彼)は、世の中の基準に照らし合わせて、自分がその基準を満たしているかどうかを判断しようとするかもしれません。

自己肯定感が低い生徒の場合、その基準を満たしていないと感じると、さらに自己肯定感を下げてしまう可能性があります。「美しい」という言葉は、無意識のうちに外見至上主義的な価値観を植え付け、容姿への過剰な意識を促してしまう危険性も孕んでいます。

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身体醜形恐怖の視点

身体醜形恐怖(Body Dysmorphic Disorder, BDD)は、自分の容姿に対する強い不安や苦痛を抱く精神疾患です。客観的には些細な欠点や、実際には存在しない欠点に囚われ、日常生活に支障をきたすことがあります。

今回のケースでは、生徒は身体醜形恐怖ではないとのことですが、自己肯定感が低い状態は、容姿への不安を感じやすい状態と言えます。「美しい」という言葉をかけることで、かえって自分の容姿を過剰に意識させ、将来的に身体醜形恐怖的な傾向を強めてしまう可能性も否定できません。

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より適切な表現を模索する

では、「美しい」という言葉の代わりに、どのような表現を用いるのが適切でしょうか?

個人的な感情を伝える

「君のことを美しいと感じる」という表現は、社会的な基準ではなく、あくまで私個人の感情であることを伝える意図があります。しかし、この表現は回りくどく、生徒に誤解を与えてしまう可能性も考えられます。

具体的な部分を褒める

「君の笑顔は素敵だね」「その髪型、よく似合っているね」のように、具体的な部分を褒めることで、容姿全体に対する評価ではなく、特定の魅力に焦点を当てることができます。

内面的な魅力を伝える

「君の優しさにいつも感謝しているよ」「君の考え方は面白いね」のように、内面的な魅力を褒めることで、容姿だけでなく、その人の個性や才能を認めていることを伝えることができます。

「好き」という言葉を使う

「君の顔が好きだ」という表現は、容姿の美醜ではなく、個人的な好みを伝えるものです。この表現であれば、生徒は容姿の基準に縛られることなく、先生の好意を受け止めることができるかもしれません。

事例:服装を褒める場合

例えば、生徒が新しい服を着てきた場合、単純に「その服、美しいね」と言うのではなく、「その服、君にとても似合っているね。色使いが素敵だね」のように、具体的なポイントを褒めることで、生徒は自分のセンスが認められたと感じ、自己肯定感を高めることができるでしょう。

事例:髪型を変えた場合

髪型を変えた生徒に対して、「その髪型、美しいね」と言う代わりに、「その髪型、とても似合っているね。雰囲気が変わっていいね」のように、容姿の変化に対する肯定的な評価を伝えることで、生徒は自分の変化を受け入れやすくなります。

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「俺基準」を大切にするということ

先生が「俺基準を大切にしたい」と考えるのは、非常に重要な視点です。生徒一人ひとりの個性を尊重し、自分自身の価値観に基づいて生徒を評価することは、生徒の自己肯定感を高める上で不可欠です。

しかし、「俺基準」は、独りよがりな価値観になってしまう危険性も孕んでいます。自分の価値観を押し付けるのではなく、生徒の個性や才能を尊重し、その子の良いところを見つけて褒めることが大切であることに留意しましょう。

ただし「俺基準」が対生徒ではなく、対世間であればルッキズムなどという風潮に果敢に挑む姿勢を間接的に示すことになるのかもしれません。

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結論:言葉の選択は慎重に

生徒への声かけは、その子の人生に大きな影響を与える可能性があります。特に容姿に関する言葉は、慎重に選び、生徒の自己肯定感を高め、健全な自己認識を育むように心がけましょう。「美しい」という言葉を使う場合は、その言葉が持つ意味を十分に理解し、生徒に誤解を与えないように注意する必要があります。

最も大切なことは、生徒一人ひとりの個性を尊重し、その子の良いところを見つけて褒めることです。内面的な魅力を褒めることで、生徒は容姿だけでなく、自分の存在意義を感じ、自己肯定感を高めることができるでしょう。

問題は世間ではない。文科省でもない。先生、あなたのマインドこそです。

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