起立性調節障害(OD)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。中学生の10人に1人が罹患すると言われており、決して珍しい病気ではありません。朝起き上がれない、立ちくらみがする、倦怠感が続くといった症状が現れ、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。このODをはじめ、身体醜形恐怖など、表面からは見えにくい苦しみを抱えている人は少なくありません。
1. 起立性調節障害(OD)とは?
起立性調節障害は、自律神経系の機能不全によって、立ち上がった時に血圧が適切に維持できなくなる病気です。思春期に多く発症し、以下のような症状が見られます。
- 立ちくらみ、めまい
- 朝起きられない、午前中に体調が悪い
- 倦怠感、疲労感
- 動悸、息切れ
- 頭痛、腹痛
- 食欲不振
- 集中力低下
これらの症状は、本人にとって非常に辛いものですが、周囲からは「怠けている」「やる気がない」と誤解されることも少なくありません。
ODと診断されるまで
ODの診断には、新起立試験と呼ばれる検査が行われます。この検査では、仰向けの状態から立ち上がった際の血圧や心拍数の変化を測定し、ODの有無を判断します。しかし、ODの症状は個人差が大きく、他の病気と間違われやすいこともあります。そのため、診断が遅れたり、適切な治療が受けられなかったりするケースも少なくありません。
ODに対する誤解
ODの症状は、外見からは分かりにくいため、周囲の理解を得にくいことがあります。特に学校では、遅刻や欠席が続くと、教師や友人から誤解され、孤立してしまうこともあります。また、親も、ODについて正しい知識を持っていない場合、「甘えている」「もっと頑張れ」と叱咤激励してしまうことがあります。ODの症状は、本人の努力だけでは改善しないため、周囲の理解とサポートが不可欠です。

2. 見えない苦しみ:身体醜形恐怖
身体醜形恐怖(BDD)は、自分の容姿に強い不安や苦痛を感じる精神疾患です。実際には客観的に見て問題がない、あるいはわずかな欠点に対して、過剰に気にしてしまいます。例えば、「鼻が大きすぎる」「顔が歪んでいる」「肌が汚い」など、些細なことを極端に気にして、日常生活に支障をきたすことがあります。
BDDの症状
BDDの症状は、以下のようなものがあります。
- 自分の容姿に対する強い不安や苦痛
- 容姿の欠点に長時間費やす
- 鏡を頻繁に見る、または避ける
- 過剰な美容整形や皮膚科治療
- 他人との交流を避ける
- 抑うつ、不安、自殺念慮
BDDは、単なる容姿への不満とは異なり、精神的な苦痛を伴い、社会生活にも大きな影響を与えます。
BDDの背景
BDDの原因は、明確には分かっていませんが、遺伝的な要因や、幼少期の経験、社会的なプレッシャーなどが関与していると考えられています。特に、容姿を重視する社会においては、BDDを発症しやすい環境にあると言えるでしょう。

3. 表面的な判断の危険性
ODやBDDのように、外見からは分かりにくい苦しみを抱えている人は、決して少なくありません。しかし、私たちは、相手の表面的な言動や行動だけを見て、安易に判断してしまうことがあります。「あの人はいつも遅刻するからだらしない」「あの人はいつもおしゃればかり気にしてバカだ」など、決めつけや偏見によって、相手を傷つけてしまうことがあります。
パワハラ依存症の背景にあるもの
記事の冒頭にもあったように、過去にパワハラ依存症だった人物も、何かしらの苦悩を抱えていた可能性があります。もちろん、パワハラは決して許される行為ではありませんが、その背景には、承認欲求の欠如、自己肯定感の低さ、ストレスなどが隠されていることがあります。相手の行動の裏にある感情や背景を理解しようと努めることが、建設的な人間関係を築く上で重要です。
誰しもが抱える苦悩
人は誰しも、他人に言えない悩みや苦しみを抱えています。それは、経済的な問題、家庭環境の問題、人間関係の問題、健康上の問題など、様々です。私たちは、相手の苦しみを完全に理解することはできませんが、想像力を働かせ、共感しようと努めることはできます。

4. 理解とサポートの重要性
ODやBDD、その他様々な苦しみを抱えている人たちにとって、周囲の理解とサポートは非常に重要です。
理解のためにできること
- ODやBDDに関する正しい知識を学ぶ
- 相手の気持ちに寄り添い、共感する
- 安易なアドバイスや励ましは避ける
- 専門家への相談を勧める
サポートのためにできること
- 話を聞いてあげる
- 一緒に病院に行く
- 家事や育児を手伝う
- 休息できる環境を整える
重要な視点
表面的な判断を避け、相手の立場に立って考えることで、より良い人間関係を築くことができます。そして、誰しもが苦悩を抱えている可能性があることを忘れず、互いに支え合い、助け合える社会を目指していくことが大切です。
YouTubeなどの動画サイトには、ODやBDDに関する情報が多数公開されています。例えば、ODの症状や治療法について解説している動画や、BDDの当事者が体験談を語っている動画などがあります。これらの動画を参考に、ODやBDDに対する理解を深めるのも良いでしょう。

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