「心のスキマ」という言葉は、まるでパズルの欠けたピースのように、満たされない感情や欲求を指し示す。今回の記事では、この「心のスキマ」を見極めることの是非、そしてそれがもたらす影響について、具体的な事例を交えながら考察していく。
心のスキマと詐欺の手口
ある事件を例に挙げよう。リリちゃんという女性が、マッチングアプリで知り合った男性から約3800万円もの現金を騙し取ったとされる詐欺事件だ。彼女の手口は巧妙で、まず相手に寄り添い、親密な関係を築いた上で、金銭的な問題を打ち明けるというものだった。
リリちゃんの詐欺の手口
- ターゲットの選定: 出会い系アプリ初心者で、返信が早く、寂しさを抱えているような50代男性を狙う。
- 共感と親密さの演出: 毎日のようにメッセージや動画を送り、愛情表現を惜しまない。
- 問題の打ち明け: 親との手切れ金や事業資金など、もっともらしい理由でお金を要求する。
- 信用させるための演出: 借用書を見せたり、親との関係を匂わせたりして、相手を信用させる。
リリちゃんは、逮捕後の調べに対して、以下のように語っている。
- 「まず会ってみてお金をもらえる人なのか確かめたい。会いたいって言ってくることは一人ぼっちで寂しい人なのかなって。」
- 「仲良くなったと思わせてから影を見せるように言うとリアリティが出てきませんか?このテンションの落差が大事であれ?気になるってさせるんですよ。」
これらの証言から、リリちゃんが相手の「心のスキマ」、つまり寂しさや承認欲求を巧みに利用していたことがわかる。

心のスキマがない人には通用しない?
では、そもそも「心のスキマ」がない人には、このような手口は通用しないのだろうか?一概にそうとは言えない。なぜなら、人間の心は常に変化するものであり、どんなに幸せそうな人でも、一時的に孤独を感じたり、承認欲求が満たされない瞬間があるからだ。
しかし、一般的に「心のスキマ」が少ないとされる人々は、自己肯定感が高く、周囲との良好な人間関係を築いている傾向がある。そのため、詐欺師が付け入る隙が少なく、冷静な判断を下せる可能性が高いと言えるだろう。

不幸の連鎖を断ち切る難しさ
リリちゃんの事件は、不幸の連鎖を象徴しているとも言える。彼女自身も、幼少期に虐待を受け、居場所を失った経験から、心のスキマを埋めるためにホストに貢ぐようになった。そして、その経験を元に、今度は他人の心のスキマを利用して金を稼ぐようになったのだ。
不幸の連鎖を断ち切ることは容易ではない。なぜなら、人は過去の経験から逃れることが難しく、無意識のうちに同じパターンを繰り返してしまうことがあるからだ。また、社会的な支援が不足している場合、問題を抱えた人々が孤立し、さらに状況が悪化する可能性もある。

幸せの要素とは?
では、人はどのようにすれば幸福を感じられるのだろうか?経済的な豊かさは確かに重要だが、それだけでは十分ではない。かつて大手製紙会社の二代目経営者がギャンブル依存症となった問題も報道されていた。金銭的な余裕があっても、人間関係や心の持ち方が満たされない場合、幸福とは言えないだろう。
幸せを決める要素は多岐にわたるが、以下の点が重要だと考えられる。
- 自己肯定感: 自分の価値を認め、自信を持つこと。
- 良好な人間関係: 家族や友人など、信頼できる人との絆を築くこと。
- 目標や目的: 人生の目標を持ち、それに向かって努力すること。
- 感謝の気持ち: 日常の小さな幸せに気づき、感謝すること。
- 心の健康: ストレスを適切に管理し、心のバランスを保つこと。

まとめ
「心のスキマ」を見極めることは、詐欺師にとっては有効な手段かもしれない。しかし、私たちは他人の心のスキマを利用するのではなく、寄り添い、支え合うことで、より良い社会を築いていくべきだ。
そして、私たち自身も、心の健康を保ち、自己肯定感を高めることで、不幸の連鎖を断ち切り、幸福な人生を送ることができるはずだ。幸せは、与えられるものではなく、自ら作り出すものなのだから。

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